After the message to Japanese readers, there is a message to English readers.
日本語読者の皆さまへ
Happy Holidays! とうとうこの日がやってきてしまいました。12月25日、2022年もあと1週間。皆さまはいかがお過ごしでしょうか。
わたしは昨日神戸ファッション美術館の特別展「祝祭の景色、世界の結婚式」を訪れた後、六甲道駅にあるイタリア料理店でコース料理とワインを楽しんできました。ちゃんとクリスマス・イヴができて満足です。
今回は初ニュースレター配信であるとともに年内最後の配信でもあるため、すこし長めにお届けします。今後はもっと短くなる予定です。
主な内容は
・2022年の成果物
・今週の告知
・最近の良かったもの
の三本立てです。
2022年の成果物
(すべて敬称略、モバイルだと見にくいかもしれません)
1月
13日:蓼食う本の虫に「谷崎潤一郎クイズ」を寄稿。
2月
6日:VG+に「L.D.ルイスの活躍~」を寄稿。
3月
1日:短下誌『うたそら』第7号に連作短歌を寄稿。
末:ファッションSFウェブジン開始。4月号に短歌、5・7・8月号にコラムを寄稿。
4月
2日:超短編小説アンソロジー『たまゆらのこえ』企画・編集・翻訳・寄稿。
9日:ウクライナへの人道支援のためのチャリティアンソロジー『青空と黄の麦畑』に連作短歌を寄稿。
5月
16日:アンソロジー『太宰治と私』編集補助・寄稿。
29日:東京文学フリマ。詩歌誌『春に』に連作短歌を寄稿。島アンソロジー『貝楼諸島より』に掌編を寄稿。
6月
7日:短歌アンソロジー『みずつき11』に連作短歌を寄稿。
23日:アジアSFF誌「Insignia Stories」に英語詩 ‘The Divine Beasts’ が掲載。
29日:anon pressに「コンと窪地の衛兵」翻訳が掲載。
8月
1日:アジアを読む文芸誌『オフショア』にクィアSF短編を寄稿。
15日:京都破壊SFアンソロジー『京新星爆発』にコラムを寄稿。
31日:anon pressに「失敗」翻訳が掲載。
9月
25日:大阪文学フリマ。時間百合SFアンソロジーに短編小説を寄稿。生物SFアンソロジー『なまものの方舟』に掌編を寄稿。
10月
19日:anon pressに「痛みを超えて」翻訳が掲載。
11月
第4回ブンゲイファイトクラブ1回戦Aグループ評担当。
20日:東京文学フリマ。映画パンフレット感想本にコラムを寄稿。
1年間ありがとうございました。自分が楽しいと思えること、自分が力になりたいと思えることのために頑張れた年だったと思います。
今年に仕込み始めたもので、来年出るものもかなりありますのでそちらも楽しみにお待ちください。
今週の告知
①詩
anon pressさんに記憶をめぐる散文詩「アドヴェント」が掲載されました。28日18:00までの公開となります。
②企画
青島もうじきさんとの創作ユニット《傾斜面分光法》から第三弾企画;展示評集『ヴァニタス、薄膜干渉、モーメント』を発行します。 連作川柳や詩、掌編小説などさまざまな形式によるレビューを集めた冊子です。青島さんとともに、またそれぞれで沢山の展示会を巡った2022年の集大成になっているかと思います。12月28日配信開始。
最近の良かったもの
①柴田元幸責任編集文芸誌『MONKEY』第28号
特集は“老いの一ダース”。老いについて、それは今ではないと思うけれど、いつかは書かなければならないとも思うから。特にアーサー・ランサム「アンクー」とポール・オースター「芋虫」の柴田元幸訳が素晴らしかったです。
前者はその年の最後に死ぬと偉大な死神アンクーになれるという言い伝えがある村で、その年最後に死にたい老人たちの壮絶な寿命バトル。ブラックユーモアだらけでも読み進めるうちにどこか真剣に死について考えてしまう自分もいて、喜劇と悲劇が融け合ったラストは見事です。
後者は物忘れが激しい老人の一人称視点で進む不条理劇、に思わせながらも、軽妙かつほろ苦いラストに着地するのはいつものオースター。いっぽうで題名の回収の妙はカーヴァーっぽいなと思いました。「オーギー・レンのクリスマス・ストーリー」と本作の2つしか短編を書いていないオースターですが、どちらも大傑作です。
MONKEYは以前から内容面・デザイン面すべてにおいて「こういう雑誌が作りたい!」の代表で、最近は買えていなかったバックナンバーを集めています。
②Nilo Cruz “Beauty of the Father”
未邦訳の戯曲。サルバトール・ダリの恋人でもあったバイセクシュアルの芸術家Lorcaの幽霊に助けられながら、ゲイで一児の父でもある主人公が父として人として苦しみながら擬似家族を守り作ってゆく物語。なお作家Cruz自身もゲイで一児の父でもある。
大筋は家族とのすれ違いや三角関係と古典的な内容ではあるのだが、Lorcaの幽霊が存在することによって芝居は何重にも厚みを増していた。Lorcaは時に同性愛の象徴として、時にスペインの象徴として登場し、スペインの辿った歴史を家族劇に重ね合わせていくのである。例えば主人公が恋人であるモロッコ人(ムーア人)Karimと言い合いになってしまい、Karimが銃を抜く瞬間、Lorcaが咄嗟に弾を受け止めて「傷」を負う。これは前後の台詞から判断しても、明らかにムーア人との戦いでスペインが負った「傷」だ。幽霊が舞台上に役者として肉体を纏って現れるのは、このためだったのかと思った。
今後とも宜しくお願い致します
何を書いていけばいいのか、どう書いていけばいいのかまだ模索している最中のニュースレターではありますが、予想以上の方が講読してくださって嬉しく思います。欲しい情報、ビジュアル面などご意見がございましたらお気軽にご連絡ください。
前述のとおり次回以降はもっと短くなる予定ですので、お手すきの際にでも気軽に読んでいただければ幸いです。
次回は1月1日。今年の振り返りと来年の抱負について書く予定です。
よいお年をお迎えください、そして来年も宜しくお願い致します。
For English Readers
Happy Holidays! At last, the New Year is coming in a week.
What was the year 2022 like for you? For me, it was an enjoyable year in which I was able to increase the number of people with whom I wanted to work with, even in a world that is often difficult and painful.
This year I was able to introduce several short stories and flash fictions from English-speaking countries to Japan. The authors I asked if I could translate them were very kind and willing to help me. I would like to continue to introduce their work, and together with them, I would like to tackle new challenges not only as a translator but also in my new work.
In addition, this year I have been assisting a newly launched independent publishing company. In addition, I have written poems, tanka poems, and short stories in Japanese, either commissioned by various people or submitted on my own. It is unfortunate that these activities in Japan have made it difficult for me to create and submit my work in English, but I will do my best next year.
This will be the last newsletter of the year, so I have reviewed the year in brief, but from the next issue I would like to talk about recent activities and books that I have enjoyed reading recently. If there is anything you want to know or ask, please feel free to comment anytime.
Have a Happy New Year!